なんだか飲んでないと、このノリが気まずい・・・

シンジさんなんか、よく飲まずにこのおっさん達のシモネタに付き合ってられんなって思いながら、みんなの話を聞いていた。

それに、ずっとモモがこっちにこないから寂しい・・・


「ねえ、どのこがカオリちゃん?」

りんさんが新しい料理を持ってきてくれながらそう聞くと,レンがちゃんと母親に彼女を紹介していた。


「いつもレンがお世話になってるみたいで、ありがとうね。」

そんな風に和やかに話している。



「そういえば、結局エイジもモモと付き合ってんだろ。やっぱりな~」

カズさんにそういわれて、なんか照れくさくなってモモのいるキッチンに逃げることにした。




モモは一人で、ずっと揚げ物なんかをしていて、そこを離れられないらしい。

「なんか手伝う?」

そうきいたんだけど、
「あ、大丈夫だよ、あっちで座って先に食べてて。」
なんていってくれる。

っていうか、もう食べたし、お前いないとつまんないしっていえるわけもなく、
「あっちいると飲んじゃうからさ・・・」なんて言い訳してずっとモモの隣にいた。


ふとシンクの方を見ると、キャベツがそのままおいてあったから、これ料理すんのかなって思った。

「あ、これ切ればいいの?」

俺も少しは料理できるからそうきくと、じゃあお願いって言われてさっさと洗って大きめに切る。
なんかそのまま味噌かなんか付けて食べるらしい。よく居酒屋であるメニューだな。

モモが揚げてんのもポテトフライだし、ホントここんちって居酒屋みたいだよなってつくづく思う。



「エイジ君、料理とかするの?」

俺が慣れたようにキャベツを切っていたからから、不思議そうにモモが聞いてくる。

「ああ、腹減ったら適当にうちにあるもんでなんか作ったりするな。チャーハンとかラーメンとか。」

ひとりっこで親も忙しいことが多かったから、結構俺家事は出来るんだよ。
母さんが原稿の締め切り迫ってると、何にもしなくなることもあるからな・・・


「お前はホント、料理好きなんだな。そういう仕事すればいいのに・・・」

なれたようにフライをすくって盛り付けている姿が、何だか楽しそうだ。

「そうだねえ・・・ でも今は、うちの手伝いしてるだけでもいいや、お母さん忙しいからね。」

ああそうか、りんさんもうちの母さんと同じように仕事があるんだもんな。
モモはずっと、そんなりんさんの手伝いをしながら、家に篭っていたんだろうか?

いつも作ってくれる弁当も、毎日微妙に内容が違っていて、どれもおいしいんだよな。
なんだか、もうすっかりモモに胃袋をつかまれているって感じがする、それが心地よかった。


ふとモモと視線が絡まって、何だか照れて微笑み合っていると、キッチンの横の勝手口がいきなり開いて、かずなりさんが帰ってきてしまった。