夏休みにはいると、朝からバイトのシフトにはいることになり、あんまりモモともゆっくり会えないかなって思ってたんだけど、初日からモモが遊びに来てくれて、弁当まで持ってきてくれた。

早くから作ったんだろうなってわかる、運動会とかお花見とかに持ってきそうなお重に入ってるちゃんとしたやつ。

でも内容は、おにぎりとか卵焼きからあげポテサラって定番な感じで、煮物とかもさりげなく入ってる。

思わずスゲェって声が漏れた。


「作りすぎっちゃった…」
とかなんとかいってたけど、どうしても全部食べたかったので、ちょっと頑張って食べた。
でも、美味しかったから楽勝だ。

「お前の作るもんはなんでも美味しいなぁ、何でかなぁ?」


いい天気だし、モモは可愛いし、弁当はうまいし、また作ってきてくんないかなって思ってポロっといったら、明日から毎日作るとかいう。

いつものお礼にっていってたけど、俺なんかしたかな?

普通に俺が会いたかったから迎えにいってただけだし、奢るのも女に払わせんの嫌だからだしな…
なんだか義理堅い奴だなって思う。



毎日来てくれるのは嬉しいけど、一人でここまでくる道すがらが心配だ。
案の定、変なスカウトに何人も声をかけられてるるらしい…
それに、ラフォーレ付近もなんか来て欲しくない。この前の事もあるから…


ランチが終わってモモが帰るのに駅まで送ると、俺は反対の表参道からくるようにお願いした。
そっちの方が人が少ないし。

モモははじめなんでって言ってたけれど、なにかを察してくれたのか、明日からはそうするといってくれた。





次の日もまた次の日も、昼過ぎぐらいにモモはお弁当持参でうちのバイト先に遊びにくる。

お客が多かったりすると、自分もお店のなかを色々見ながら、適当に待っていてくれる。
そして、毎回同じTシャツの前で立ち止まって、手に取ってみたりサイズを見たりして悩んでる。

ここの服高いからなぁ… Tシャツだって軽く一万円越えてるし。
欲しくても手が出ないんだろう。


誕生日にでも買ってやるかなぁなんて思っていたら、あの約束を思い出してしまった…


自分で言っておいて、正直それまで我慢できるかめちゃ不安だった。
まさかリンダのとこにいくわけにもいかないし、って言うか行きたくないし…


そのたびに、ビトの事も思い出すんだ。
幸せにしないと許さないって…


やらないのが幸せなのか、正解はわからないけれども。