エイジとライブに行ってからは、何となくいつも二人でつるむようになっていた。



放課後は、僕は部活もあったので、別行動が多かったけど、昼休みになると弁当を持ってエイジの席まで行き、二人でなんやかんやとみんなの知らない音楽の話をする。

それが無性に楽しくて、僕なりに充実していた。



「ねえ、今度うちに遊びにこない?
母さんがさ、すっかりエイジのこと気に入っちゃって、たまには連れてこいってうるさいんだ・・・」



エイジも口ではめんどくさそうな事言うけど、結構乗り気みたい。

うちの母さんのマニアックな趣味に、結構興味があるみたいだから。


「りんさんって、料理とかうまそうだよな・・・」


毎日僕の弁当を眺めてるから、そんな風に見えるのかもね?

うちの母さんの事を、下の名前で呼んだりして、なんかちょっとリスペクトしてるっぽいなって最近思う。


自慢じゃないけど、うちの母さんは、誰にでも好かれるんだよな。

だからうちも、いろんな人が遊びにやってくる。


「お前、いつ頃なら暇なの?」

エイジは帰宅部だから、いつも暇っぽい。

週末なら部活も休みだよって伝えたら、じゃあその辺りに遊びに行くわって、すんなりと決まってしまった。






次ぎの土曜日、昼過ぎから学校が終わって、エイジが一緒にうちに来ることになった。

その前にうちによってっていい?ときかれて、そのまま学校の近所にある、駅前のエイジの住むマンションに一緒について行った。



「へえ、便利なとこに住んでんだね・・・」

結構小奇麗で広いそのマンションに、エイジはお母さんと二人で住んでるって言ってた。


「今日はみちるさんはいるの?」

エイジが僕の母さんの事を下の名前で呼ぶように、僕もエイジの母さんを自然とそう呼ぶようになってる。


「ああ、いるんじゃね?
もうすぐ締め切りだって言ってたから、部屋に篭ってずっと書いてるよ。」



みちるさんは、最近売れっ子のミステリー作家で、大学生の時エイジを生んだ頃、丁度デビューしたらしい。

そのおかげで、父親がいなくても経済的にも無理なく生活できてきたんだとか。