「今週末、どこ行こうか悩んでるんだ。
カオリさん、ホント行きたいとことかないの?」


図書館から駅まで歩きながら、僕達は話していた。



「そうだなぁ…
動物園か水族館なんて、行きたいかも?
ああいうとこって、女同士だと行かないからね~」


親子か恋人同士じゃないとさ…なんてサラっと言うもんだから、これはデートになるんだと、改めて意識しちゃう。



「うん、じゃあ上野と多摩と、どっちがいい?」


東京で大きな動物園ってその二つしか思い浮かばなかったから、とっさにそう聞いた。

二つとも、小さい頃両親に一度だけ連れていってもらったっけ…



「私、井の頭公園とかでもいいけど。
うちから近いし、レンの学校もその辺りでしょ?」


「だって、あそこかなり狭いよ~」


あの辺は、うちの学校の生徒が沢山いそうで、見つかるのもやだなって思ったから…



「いいじゃん、狭くても楽しそう。」


にっこり笑って、井の頭公園を薦めるカオリさんが、僕と同じ高校生のように無邪気だった。




「うぅ…わかった、じゃあ待ち合わせは吉祥寺に変えようか?」


いつも僕らが会うのは、カオリさんの住む中野と僕ん家の目黒の中間である渋谷辺り。


吉祥寺なんて、学校帰りにもあまり寄らないや。




「じゃあ決定ね!
楽しみだなぁ~レンとデートか。」



もう、またそんなことサラっと言わないで欲しいよ。

必死でいつも通りにしたいのに、またさらに意識しちゃうじゃん。