鏡村【短編】

健人と智治の会話を背に私は外の景色を眺める。


「智治がしょーもない事ばっか言うからだよ」


黙ってればかっこいいのに、と亜美は余計な一言を付け加えた。


やっぱり……


前にもこんな会話をした気がする。


車は少しずつ、ゆっくりと前に進んでいた。


道の端にはカーブ注意の標識と確認ミラー。


吸い込まれるようにそのミラーを見る。


どうしたことか、私はそのミラーが気になって仕方がなかった。


見てはいけない。


脳が危険信号を発していた。


鏡に魅入られてはならない。


向こう側の私が笑った気がした。



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