先生が最近口にする言葉は、みんなが聞いていやになる言葉だった。



『お前ら今年は受験生なんだからちゃんと勉強しろよ!』



不精髭を触りながら担任が言う。


担任を見た前の席の淳が、『お前はその髭をさっさと剃れよ』と呟いた。


俺はその淳の発言に対して笑ってしまった。


受験生?
だからなに?


俺は正直、高校なんてどうでもよかった。


だって…こいつらと離れるのは嫌だ。


俺の表情がみるみるうちに暗くなっていく。



『どうした?』


隣の遥斗が俺の変化に気付いたようだ。



『遥斗は、高校どこにするか決めたか?』



『…光明かな?』


『光明か…』



光明高校は、まぁまぁレベルは高く、いい学校だと評判だ。


遥斗はそこにいきたいんだ…



『俺も光明にしようかな』

俺が静かに笑ってこう言う。


『お前ならもっと上いけるだろ?』