月は俺達を見守っていてくれた─…いつまでも…



『小さいころのこと覚えているか?公園での約束』


俺は遥斗の顔を見て、小さく笑った。



『当たり前だろ。覚えているよ』



『そっか…じゃあ…お前のなりたいものはなに?』



俺は小さいころ、遥斗に聞かれたことを遥斗に聞き返した。


白い息が、黒かった世界に新しい色を加えていく。



遥斗は考えるフリをした。


『…変わってねぇよ。俺は鳥になりたい』



『…やっぱりな』



遥斗はなにも変わっていない。

この世界も、この街も、
遥斗の夢も、遥斗自身も…


一番変わったのは俺だ、俺だ。




『いつかいい男になってやるよ』



俺は誓った。


いつか愛する人と出会うこと。

いつか愛する人に愛していると言うこと。


そして…ずっと愛している人の名を呼び続けること…



─…気が付けば、時は流れ、もう桜の蕾が膨らんでいた。