俺は写真をズボンのポケットにしまい、少し寄り道をして帰ることにした。


俺が向かった場所とは、あの人のところ。



彼女よりも大切な、俺の親友のところ─…



遥斗がいる施設へと歩いて行った。


夜になると一気に気温が下がるため、ダウンの前をしめ、風が入ってこないように塞いだ。



鼻をすすりながら歩く。

月が俺の後をひっそりとついてくる。


俺は月を見上げ、こう言った。



『お前がいてくれて良かったよ。俺一人では不安だったんだ』



施設に近付くにつれ、施設の中に人影が見え始めた。


周りが暗いため、誰なのかはっきりとは分からない。


その人は上を見上げていた。



その人の視線の先には俺の付き添い人。


そう、月だ。



お前は小さいころから空を見上げるのが好きだったよな?




──…遥斗…