恋愛一色

光輝さんは俺と同じ人間だと言った。


そんなわけあるか。


俺は最低な人間なのだから…



『あっ名前言っていなかったね?俺は坂井光輝。ここの近くの美容院で美容師やってるんだ』



光輝さんは胸元のポケットから一枚名刺を取りだし、俺に渡してきた。



『fine custom…?』



どこかで聞いたことのある名前だ。


もしかしたら最近この近くでオープンをした美容院かもしれない。


ガラス張りになった店でとても綺麗なところだ。



評判もよく、一度行ってみたいと思っていた美容院だ。


俺はゆっくりと光輝さんを見上げる。


オレンジと茶色が入り交じっている髪の色。


その色が光輝さんにとても似合っていた。



『今度切ってあげるからいつでもおいで?』



光輝さんの優しさが、俺の心を穏やかにしていく。