恋愛一色

俺はポケットの中から携帯を取りだし、あの子に電話をした。



物静かの道に鳴り響くのはコールの音。


上を見上げれば、ぽつんと寂しそうに浮かぶ月のみ。


『響?』



『さな?』



俺が電話をかけていたのは今日逢いたいとメールをしてきた、さなだ。



今の時刻は19時。


冬は日が沈むのが早い。


すぐに暗くなるが、俺はまだ帰ったりしない。


遊び足りなかったのだ。



『どうしたの?』



『…逢いたい…今すぐに…』



俺がこうやって甘えた言葉を言うとすぐに女は飛んできてくれる。


遊びたいときに誘って、
逢いたいときに逢って、



俺は暇を潰しているだけ。

都合が本当に良かった。



『私も逢いたい!』



ほらな?
俺が言えばすぐに来てくれるだろ?



俺はまたいつもと同じ顔で笑った。