恋愛一色

千尋から感じるのは、温かさと、愛情。


俺に対する愛情がすごく伝わる。


だが俺の体は冷たい鉄のようなもので出来ている。


だから…そんな愛情なんて伝わらない。



『そろそろ帰るよ…明日また学校でな?』



俺はぽんぽんと二回、千尋の頭を叩き、千尋から離れていく。



暫く歩き、千尋の方を振り返る。

振り返ると、大きく手を振る千尋がいた。




『響!大好きだよ!バイバイ!』



俺はそんな千尋を見て、吹き出しそうになった。



ちょっとだけ可愛いと思った。




『またな!俺も千尋が好きだから!』



千尋は俺の言葉に満足したのか、元気よく家の中に入って行った。



千尋が見えなくなると、一瞬にして俺から笑顔が消える。



そして鼻で笑うんだ。



『…くだらねぇ』



くだらない。


くだらない。


恋愛も…女も…全て─…