恋愛一色

俺達は近くの映画館に入り、千尋が観たかった映画を観た。


上映時間も俺は映画など観ずに、これからのことをずっと考えていた。



千尋が観たかった映画は感動系の映画だったらしく、隣で観ていた千尋の目から涙が流れていた。



俺は小声で千尋に言った。


『大丈夫?』


千尋は目を潤わせ、小さく頷いた。



俺はつまらなさそうにその映画を観ていた。



スクリーンの中で演技している俳優たちをずっと睨んでいた。



早く終わって欲しいと思っていた。



そして映画のエンディングが流れている時、俺は現実の世界に戻った。


ずっと考え事をしていたせいか、自分の世界に行っていたみたいだ。



エンディングが終わると明るくなる映画館。



『良かったね!』




千尋が映画の感想を言ってきた。

俺はその話にただ相槌を打っていた。