『響?最近先生とはどうなってんの?』



遥斗はまたかっこよくなった。
光輝さんが働いている美容院で髪を染めてきたのか、恋が順調なのかは分からないが、また遥斗は女子の注目の的になった。



『さぁ~ね?』


俺はわざとこう言う。

あまり聞いてほしくない質問だ。
美幸との恋愛が終わってから何一つ前に進んでいない、と思って欲しくなかった。


俺は恥ずかしくて、その場から逃げるように階段を上っていった。



そして教室へと逃げ込み、クラスメートに挨拶をする。



『おはー!』



『おはよ、響』



俺は机にカバンを置き、たわいもない話をする。

考えたくない、もう…

この時の俺は、自分の中で少しだけ諦めている部分があった。


あんなにも美幸に関わろうとしても、避けられてしまったらやる気もなくしてしまう。



でも遥斗はこんな俺にちゃんと怒ってくれたよな?