君しかいらない


「一緒に暮らすのも…悪くないかもしんないね?

真理子に聞かなきゃだけど」

私の心は、この暗闇を映す海に反して

やけに晴れ渡っていた。


それは

二度目のプロポーズとも呼べる知也の言葉に

もう、これ以上抵抗する事は…

自分に嘘をつくのを諦めたからかもしれない。


「そうだな…。

そういや、こんな遅くまで真理子、家に一人で大丈夫なのか?」


「今日は彼氏と会うって言ってたから。」


思い出すように呟いた私に、知也は目を丸くさせた。

「か、彼氏?!」

「うん?もうそういう年頃だよ」


『彼氏』の言葉にガクンと肩を落とした知也が大袈裟なため息をはいた。