君しかいらない


「あそこは…お前たち家族にとって大切な場所なんじゃないのか…?

それを安易に手放したりなんかして…」


「安易なんかじゃない。

知也にそのことを言われる筋合いはないよ。」


自分でもこんな言い方をするつもりは無かった。


慌てて、両手で口を覆ったものの

私の物言いに、知也の怒りは明らかに増幅していた。