君しかいらない



声が部屋の外に洩れないように囁いた。


「お父さんから大切なものを奪った私を

許さないで。」






ひとしきり泣いた後、疲れて立つ事さえおっくうだったけど

ぐちゃぐちゃに散乱した小さな本棚が目にとまり

おもむろに手を伸ばしてページをめくった。