君しかいらない


だから

泣かなかった。

泣けなかった。



「なんでおじいちゃんは起きないの?」

不思議そうに聞いた真理子と幼い頃の『誰か』が重なって見えて

優しく頭を撫でた。

「おじいちゃんはね

やっと解放されたの。」

「解放…?」