君しかいらない




お父さんの最期は一瞬だった。


悲しかった。

けれども

実感は沸かなかった。



お母さんが死んだ時よりも

全くと言っていいほど実感がわかない。



お父さんはまだ

いつも通りに仕事に行っていて

深夜になったらいつも通りくたくたの顔をして帰ってくる気がしていた。