君しかいらない


苛立ちを隠せずに、お父さんの指先が規則正しくテーブルを叩く。

そんな様子をぼんやり眺めながら『あいつ』が誰であるのか、聞く事もできずにいた。



なかなか話しを切り出さないお父さんを見かねて、お茶でも沸かそうかと立ち上がった時

おもむろにお父さんの小さな声が「飯島だ…」と告げた。