君しかいらない


「…大切な話しがあるんだ。」

「私の…事?」

少し間があいて首を横に振ったお父さんを見て

ほっと胸を撫で下ろした自分に幼さを感じて、少しだけ恥ずかしい気持ちになる。


「じゃあ何の話し?お父さんがそんなに機嫌悪くしてるなんて…」

「…あいつと会ったんだ。」

あいつと呼ばれて頭に浮かぶ人物なんて誰一人思いあたらない私は、つい間抜けな声を出した。

「あいつ?」