君しかいらない






事件は真琴が中学三年の終わりの春に起こった。



深夜、仕事から帰ったお父さんに起こされ

静まり返ったリビングで、珍しく機嫌の悪いお父さんと向かい合わせに座っていた。



こんな状況は生まれて初めてで

私は、自分が何か悪いことをしたかと記憶を探ってみる。