君しかいらない

「一年後はさ…どうなってんだろうな。」

独り言のように呟いた知也に何も言い返す事なんかできなくて


ただ

胸の奥底から沸き上がる暗闇に飲み込まれそうになる。


「なあ、莉子?

一年後はさ、俺とお前と赤ちゃんと三人でまた、海になんて来てるのかな?」


「えっ…?」


知也の言葉に耳を疑って

不思議そうな顔をしたあたしのお腹にそっと触れた大きな手の平。