君しかいらない

「…うん。真琴の事よろしくね」


「なんかあったら電話しろよ」

小さく頷いて

あたしの実家へ赴く彼の背中を見送るのは妙な気分だった。



胸の奥で燻るお父さんへの気持ち。


ため息を一つついて玄関の鍵を閉めると

背後に人の気配を感じで咄嗟に振り返った。