君しかいらない



家に着いた頃はもう夕方を過ぎていた。


急いで夕飯の支度を始めるとすぐに知也が帰宅した。

「おかえりなさい」

いつも通りを装ったつもりだった。

「ただいま」


知也があたしの頭を軽く撫でた瞬間

彼の顔つきが一瞬、変わったのが分かった。