君しかいらない

「莉子…俺は君が出て行ってから君を忘れたことなんてなかった…

寝ても覚めても覚えてる。

莉子の香りも温もりも…声も」


真っ直ぐに

だけど

今にも泣きそうな彼の瞳が

いつかの知也と重なる。


あたしはまた

その瞳に吸い込まれそうになりながら

自分の胸に手をあてた。