君しかいらない


諦めて帰ろうとした時

「莉子…?」


懐かしい声があたしを呼んだ。



振り返ったそこには

くたびれたワイシャツのボタンを首もとまで外して

あたしを見て呆然と立ち尽くす

知也の姿があった。