君しかいらない


リュックに荷物を詰めて

急いでおじさんのもとへ駆け寄る。


このおじさんがどこの誰かなんかはどうでもよかった。


今は藁にもすがりたい気持ちでついていくと

公園の近くの

小さな喫茶店。

裏口に通されると

おじさんと同じ年齢くらいのおばさんが

心配そうにあたしを見つめ

「やっぱり連れて来たのね」と小さく呟いた。