君しかいらない


誰かが

家に入って来た事にも気付かず


遠くからあの女の名前を叫ぶお父さんの声が近づいてきた。


…それでもあたしは逃げる事が出来なかった。

「真紀子!!

どうしたんだっ!!」

青ざめて

動揺し靴も脱がないで駆け寄ったお父さんが

階段の上にあたしを見つけて言葉を失った。