君しかいらない



あれから

ずっと海なんて来ていなかったのに


あたしは今

天敵とも言える相手と一緒に

大切な思い出の場所に来ている。


「莉子、寒くない?」

「大丈夫」


砂浜に座りこんで

打ち寄せる波を眺めていた。


あの頃はあんなに不気味に思えた夜の海だったけど

今はこんなにも懐かしい気持ちにさせてくれるなんて…