君しかいらない

「怖いから早く帰ろうよ」

お父さんとお母さんの手を力いっぱい握りしめたあたしに

お母さんは優しく言ったんだ。


「夜の海はねお母さんの大切な思い出の場所なの」

「思い出…?」


お母さんの言葉に突然、思いだし笑いをしたお父さんは

なんだか照れ臭そうに

「まだあんな事覚えていたんだ…?」

なんて言ってたっけ。