君しかいらない

あの時は確か…お墓参りの帰りで

もう辺りは薄暗くなっていたのに

車の窓辺から見える海を見て突然、お母さんが立ち寄りたいと言い出したんだ。


左手はお母さん

右手はお父さんがあたしの手をきゅって握りしめて


あたしにはあの薄暗くて真っ黒に染まってる海が不気味に見えていたのに

お母さんはなんだか嬉しそうだった。