君しかいらない


行き先が決まらずに、やっとの思いで、叔父さんが閃いたのと

あたしが行きたい場所を口にしたのは同時だった。


「あっ…」

二人共、同時に言葉にしたせいでなんだか気まずい雰囲気になりながらも

「行きたい場所があるなら教えて?」

叔父さんに譲られ

あたしは躊躇しながらも記憶の中にある

色褪せた海を思い出していた。