気づくまで数秒……



「私…は…初めて…だった…の…に…」

やっぱりこの人非常識!


「私の初めて返して!!」

怒る私に微笑む悪魔は

「あんま睨むなよ。今度は違うとこにすんぞ」

『冗談』と云う脅しを仰(おっしゃ)る。



「馬鹿が!!」

私の叫び声はこだました。

「今度は口にするか?」

声を上げて笑う先生を睨みながら、口を両手で死守。
ブンブンと首を振りながら、後退させる。



顔が赤いのは怒っているからではない。

左の頬に今も尚残る唇の感触の所為。



「顔にしたぐれぇで、がたがた言うなよ」

笑みを浮かべる悪魔様。