『その声でささやいて』キケンな教師と危ないカンケイ



あれから数日が経ったある月曜日。



「朝礼やだな~」

そう呟いた私に亜耶は

「噂によれば、新しい先生が来るらしいよ。しかも若い男の先生」

目を輝かせ騒いでいる。


「こんな中途半端な時期に?!」

こんな2学期になんて有り得ない。聞いた事ないし。辞める先生もいるってこと?



「もうみんな行っちゃったよ。ほら、うちらも行くよ。急いで」

混乱ぎみの私を連れて、亜耶は体育館へ向かった。




秋になったからか、体育館の中はちょっとだけ涼しい。夏の暑さはもうない。

私と亜耶はクラスの列のいちばん後ろに座った。


「新しい先生来るらしいよ」
「マジ?」
「俺、女の先生がいいな」
「なんか、あんたが言うと不純さが出ててキモい」
なんて、まわりのみんなは囁きあってる。


その会話を聞くと、胸が高鳴った。
でもそれは、新しい先生が来るから。ただそれだけの事。