「親父、悪いんだけどさ、何か違うもん作ってやってくれねぇかな?」



顔を上げると、カウンターの向こう側にある厨房へ話し掛けている先生。


その中にいるおじさんは

「あいよ。ちょっと待ってな」

と笑顔で返している。


「私の為なんかに、そんな事いいから!おじさん、すみません!!私なら、大丈夫ですから!」

慌てふためく私に

「いいのよ。座って。久しぶりに、女の子が来てくれたのが嬉しいの。だから、これはうちからのサービスよ」

そう言って、おばさんは微笑んだ。



おじさんが作ってくれたのは、メニューにはない玉子入りのお粥。

その味は、とてもとても優しかった。