やがて着いた先に見えるのは、ライトアップされたタワー。

夜空に聳(そび)え建つタワーは、クリスマス仕様になっていた。


雑誌などで取り上げられでもしたのか、やけにカップルが多い。

昼間とは違い邪魔に思わないのは、きっと先生と一緒にいるからなのだろう。



頭を小突かれ振り向けば、

「置いて行くぞ」

こちらに左手を差し延べる先生が居た。


この手を取ってもいいのだろうか?


固まっている私の右手を取り歩き出した。

温かくて大きな手は、とても心地が良い。

けれど、同時に恥ずかしくて堪らなくなる。