それは、何処からどう見ても“石”だった。 私は石入りのおにぎりを食べてしまった。 自然と溢れる涙。 鼻の奥がツンと痛い。 本当ならば、声を上げて泣きたかった。 本当ならば、喚き散らしたかった。 けれど、それが出来ない私は必死に声を殺して泣いた。 誰にも見つからない様に泣いた。 部室に戻る少し前、体育館のトイレに寄り、洗面台の蛇口を捻(ひね)る。 流れ出る水は、凍てつく程冷たい。 水を手に溜め顔を洗った。 赤くなった目も、赤くなった鼻も泣いた所為なのか今では分からなくなっていた。