「おい、静かにしろ!」

秋山の声でざわめきが小さくなる。

「吉沢、遅刻か?まあいい、答案用紙取りに来い」

こんな時に限って世界史の時間だったなんて。

気分は落ち込んでいくばかり。


「はい」

声が自然と小さくなってしまったのは、出来の悪さを想像してしまった所為。

差し出された答案用紙を恐る恐る見てみれば、いつになく良い点が書かれていた。

「今回は頑張ったじゃないか」

「はぁ…まぁ…」

照れ隠しで言葉を濁す。

「次も頑張れよ」

「はい」

後で後藤先生に報告しようと心踊らせる。