一日我慢すれば会えるのは分かっている。
分かってる。
けれど、この別れにさえも切なさが込み上げる。
「帰りは一人か?」
「はい」
「遅くなったし、送ってくか?」
「いい。大丈夫。昨日も一人で帰ったし。私なんか襲う人いないよ」
「世の中には変わった趣味のヤローもいるかもしれねぇだろ?」
「何気、酷いこと言うね」
「おい、お前は教師にタメ口か?敬語使え。敬語」
「はいはい」
「『はい』は一回でいい。にしても、ちょっと前まで敬語使ってたじゃねぇか。なんだよ、急に」
「わかりませ~ん」
ふざけて返した私に「ふっ、おかしな奴」鼻で笑われた。
「先生、さようなら」
「本当に大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
「明後日10時にここな。じゃ、気をつけて帰れよ」
「は~い」
手を振って別れた。


