甲高い笑い声が辺りに響く。 部室前まで来た時だった―― 「ってかさ、あのコート本当に捨てたの?」 「あー、あれ?うん。捨てた」 「マジで!?」 「うん。ムカつくから、散々汚してからごみ捨て場に投げといた」 ………コート… ………ごみ捨て場… 心当たりはあり過ぎる。 罪悪感なんて微塵も感じないその態度に、怒りよりも恐怖心の方が勝り、動く事が出来ない。 身体中の血が一気に引いていく。 浅い呼吸しか出来ず、酸素が肺に入っていかない。 ………胸が…苦しい…