「あ、大丈夫、です」 これを言えただけでも私には奇跡的。 そんな私に、 「しっかりしろよ」 そう言って温かな大きな手で私の手を握ると、ゆっくりと歩き出した。 まだ“恋人”なんて言えない癖に、まるで恋人同士の様で照れ臭い。 顔を上げられない私は、自分のブーツの爪先を見るしか出来ない。 時折こちら気にする先生の視線を感じ、心が綻ぶ。 「ツリー、見ねぇのか?」 「み、見てるよ」 「嘘吐け。下ばっか見てんじゃねぇか」 「そんな事ないし」 「いいから、顔上げろよ。あれ乗りたくねぇの?」