「ヤバい」なんて思う暇さえ無かった。
スローモーションの様にゆっくりと視界が変わっていく。
目をギュッと力強く瞑り、奥歯に力を入れた。
後は地面に体が着く衝撃が襲ってくるのを待つしかない。
そう覚悟を決めた瞬間――――
…――――ドンッ―
衝撃と共に先生の香りが鼻を掠めた。
恐る恐る目を開けると、先生のコートがある。
頭上から聞こえた
「馬鹿が」
はとても優しくて、私を包む温もりにまた胸の高鳴りを感じる。
「大丈夫か?」
至近距離で見つめられ、端(はた)から見ればキスでもしかねない、そんな距離。


