「待ってって言ってるのに」

若干膨れっ面になりながら、先生の黒いジャージを引っ張った。

振り返る気配と共に

「不細工」

暴言が降ってきた。


いや、それは自分がよく分かってる。

それについては、熟知してると思ってる。

だてに毎日鏡見てる訳ではない。


だけど、

だけど、

だ・け・ど…

わざわざ言わなくても良いじゃん!


「可憐な乙女は傷つき易いってのに…」

非難の声を上げた私に、

「誰が“可憐な乙女”なんだ?」

更なる暴言が投下された。