「探し物です」
手の中に壊れたシャーペンを隠した。
速まる鼓動は、後藤先生の所為なのか、ツイていない事への所為なのかは分からない。
昨日、葉山と非常階段前に居た時の事を思い出す。
冷たく感情のない、あの声を……
自然とシャーペンを握る手に力が篭る。
「探し物だぁ?あったのか?」
訝し気な顔をして見てくる。
その視線が痛い。
「はい、ありました。…帰りますね」
逃げる様に扉へと向かおうとして―――
手首を捕まれた。
「戸締まり、手伝え」
未だ冷たさを含む言葉に、胸が締め付けられそうになった。
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