教室へ帰ると既に誰も居なかった。 鞄を持ち、特別棟へと向かう。 昨日、授業のあった教室のドアを開けていく。 床に這い蹲(つくば)い、探し回った。 しかし、どこにもシャーペンはない。 次は視聴覚室。 これで最後。 半ば諦め掛けていた。 大して期待もせずに扉を開ける。 昨日座っていた席を思い出しながら、探していく。 「確か昨日は…いちばん奥の後ろの席…だったよね」 一人呟き、その席に向かう。 机の中を覗き込むが、暗くて見え難い。 机の中に、そっと手を伸ばし… 何かが指先に触れた。