ボロ切れを両手で掴み上げ広げた。

薄汚れ、悪臭を漂わせている。


間違いない…

間違え様もない。



確かにそれは……


紛れも無く、


私のコートだった。



無くした筈のコートが何でこんな所に?

誰が……?



いや、他人(ひと)を疑ってはいけない。

もしかしたら、落ちていたコートが雨で汚れたから、捨ててくれたのかもしれないのだから。


そう思い直した。

そう思うと少しだけ心が楽になった。


コートをゴミ袋に詰め直し、倉庫を後にした。



これでいい…

これで……