ツイてない時は、嫌な事が重なる。
もしかしたら、昨日の移動教室の時、何処かに落としたのかもしれない。
何気にお気に入りだった。
デザインも書き味も好きだった。
でも、失くなってしまったものはしょうがない。
「探してもダメなら、また買いに行こう」
と思い直し、なんとかやり過ごした。
ガスストーブで温められた教室の窓は、全て曇っている。
そっと手を伸ばし曇りを取ると、冷たくなっているガラスが、指先の体温を奪っていく。
未だ止む気配のない雨。
朝よりも強さが増している気もする。
授業が終わっても、亜耶の姿は見えなかった。