「もう、ちゃんと探しておきなさいよ」
「亜耶…く、ぐるじい…」
マフラーを巻いている上から、更に亜耶のマフラーをぐるぐるに巻かれ、息が出来ない。
「コートを無くした奴が悪い。風邪ひく前に帰るわよ!」
そう言って、一人先に歩いて行く。
「ぢょっど待っでど」
バタバタとしながら靴を履き替え、くぐもった声で亜耶を追い掛ける。
「置いて行くわよ」
言ってる事とは裏腹に、私が追いつくまで待ってる。
私が追いつくと、亜耶は手際良くマフラーを巻き直した。
「ありがとう。ママ」
抱き着こうとしたのに、
「あんたみたいな子供はいらん!」
大きく広げた両手は、空(くう)を斬った。


