「さては嫌がらせか?」

「何が?」

しれっと答えた葉山の顔は、笑いを堪えている。

「手だよ!手!絶対、嫌がらせとしか思えない!!」


しつこい!

抜けないと分かっていても、ぐいぐいと手を引く。



あれ?

今、一瞬だけ…

柱の陰に人影が……


いや、気のせいか。



「どうかした?」

葉山は、不思議そうに見つめてくる。

「ううん。何でもない。それより…もうそろそろ手、離してよ!」

いつになったら終わるんだろうと、うんざりしてきたその時―――



「教室帰れ。授業始まんぞ」