「一緒に帰ろうと思って」 「みんなと帰れば良かったのに。着替えて来るから、待ってて」 葉山は‘了解’と片手を軽く挙げた。 副部長と二人で部室に入る。 ジャージから制服へと着替える。 何故、わざわざ着替えて帰らなくてはいけないのか、私には分からない。 どうせ、家に帰ったら部屋着に着替えるのに… 「よ、吉沢さん?」 「…え?な、何でしょう?」 「何回か呼んだんだけど、返事がなかったから…」 いつの間にか、一人の世界に浸っていたらしい。 だから、もう一人居た事を完璧に忘れていた。